極北カナダ・ユーコン準州より、野生動物の撮影活動や極北での暮らしについて綴っています。

2011年7月5日火曜日

マウンテンゴート

昨日はホワイトホースから東南東約90kmにある山へ登山に行ってきました。まともな登山は久しぶりで、新しく導入したデジタル機材での野生動物撮影も初めて。心地よい緊張感を抱きつつ、撮影活動再開の悦びを噛み締めながら向かいました。

今回のお目当てはマウンテンゴート。足慣らしと撮影の練習を兼ねているのでホワイトホースからの距離と動物に出会えそうな確立からこの山にしました。

登山自体は片道2kmと大した距離ではないのですが、事前に得ていた情報通り最初から超急勾配…。天気も良かったので汗だくになり息を切らせながら登りました。

森の中ではクマの糞や足跡、狼(たぶん)の糞を数多く見ましたが残念ながら彼らには会えず。
そのかわりにリスがあちこちでお出迎え。リスは町にもいますが森の中で出会うリスの方が活き活きして見えるから不思議です。


急峻な坂なのであっという間に森林限界を越えると一気に視界が開け、美しい湖とそれを取り巻く山並みを一望出来ました。


たった2kmですが所どころ足場も悪く、標高差670mを一気に登るので約2時間かかってようやく頂上付近へ。森林限界を越えてからは時々双眼鏡を取り出し岸壁にマウンテンゴートの姿を探していたのですが見当たらず、「今日はもう会えないかな…」と思い始めた頃、ようやく彼らの姿を発見。最初5~6頭まとまって見えたのですが、私が彼らに気付くと同時に彼らも私に気付き、まだまだかなり距離があるにも関わらず子供とその母親らしき数頭は見えないところへ移動してしまいました。
残った若い2頭は私を意識しながらも移動する気配もないので少しずつ距離をつめて撮影。
 

 
実はこの山のマウンテンゴート達は元々ここに住んでいたわけではなく、今から27~28年前にユーコン政府により別の場所から導入されました。このような、自然界に人が手を加える行為に対しては、問題が複雑且つ科学的過ぎて未だに自分の意見を持てずにいますが、ここに暮らす彼らはこの地に適合し、放たれる命の輝きはやはり【野生】のものでした。

断崖絶壁に生息する彼らの姿は仙人の如く神々しく、魅了されてしまった人も多いのではないでしょうか。私もまた会いに行きたいと思います。

初めて実戦使用した新機材は使い勝手も良く大変気に入りました。まだまだ慣れは必要ですが、私の期待に応えてくれる心強い相棒になりそうです。極限の状況において良い写真を撮るには、時として数値上の性能差なんかより、撮影者の機材に対する満足度・信頼度の方が重要な要素だったりしますので、そういった意味で正しい選択をしたと思います。

さて次はどこへ撮りに行こうか…。

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